中野有紗と紅葉。

by Keita Miki

Masteredが気になっている女の子を不定期でピックアップしていくエディトリアルシリーズが新たにスタート。
普段は見せない表情にドキッとするビジュアルを中心に、パーソナルな彼女の一面を文章で少々。
第2回目に登場してくれるのは、Wim Wenders(ヴィム・ヴェンダース)監督による『PERFECT DAYS』で俳優デビューを果たした中野有紗。
※本特集内に掲載されている商品価格は、全て税込価格となります。

Styling:Takayuki Tanaka | Photo:Masato Kawamura | Hair&Make:Chihiro Yamada | Model:Arisa Nakano | Text:Minori Kitamura | Edit:Keita Miki

UNDERCOVERのコート 275,000円、シューズ 68,200円(ともにUNDERCOVER TEL:03-3407-1232)

ISSEY MIYAKEのニットワンピース 74,800円、バラクラバ 24,200円(ともにISSEY MIYAKE INC. TEL:03-5454-1705)

ISSEY MIYAKEのニットトップス 66,000円、パンツ 69,300円、バラクラバ 24,200円、手袋 17,600円(すべてISSEY MIYAKE INC. TEL:03-5454-1705)

DRIES VAN NOTENのニット 195,800円、シャツ 107,800円、パンツ 参考商品、シューズ 125,400円(すべてDRIES VAN NOTEN TEL:03-6778-7975)

LOEWEのコート 393,800円、シューズ 163,900円(ともにLOEWE JAPAN CLIENT SERVICE TEL:03-6215-6116)

LOEWEのニット 180,400円、パンツ 246,400円、ベルト 74,800円(すべてLOEWE JAPAN CLIENTSERVICE TEL:03-6215-6116)

Courrègesのドレス 265,000円(EDSTRÖM OFFICE TEL:03-6427-5901

MIU MIUのコート 2,750,000円 ※予定価格、シャツワンピース 286,000円 ※予定価格、タイツ 124,300円 ※予定価格、シューズ 187,000円 ※予定価格(すべてMIU MIU CLIENT SERVICE TEL:0120-45-1993)

BOTTEGA VENETAのドレス 1,249,600円、シューズ 220,000円、ネックレス 480,700円 ※参考色(すべてBOTTEGA VENETA TEL:0120-60-1966)

1年前、『PERFECT DAYS』の公開を皮切りに、突如役者として注目を浴びることになった中野有紗。一大転機を迎えた彼女は今19歳。モデル、役者、大学生という3つの顔を持っている。嗜好品や派手なサークルへの興味を聞くと答えはノーで、SNSもやっていない。空きコマはシアタールームで過ごすのがお決まりなようだ。ハタチ目前のお年頃にしては少し大人びた、凜とした様子はつかみどころがなくて、なんだか惹かれるな。

趣味は映画鑑賞。母親譲りで古い映画、特に50年代あたりが好み。初めて観た『ローマの休日』をきっかけに掘り出し、小津安二郎監督作品全般、山田洋次監督作品では『男はつらいよ』シリーズを気に入り、ミュージカル映画を観たり、ヒッチコック作品を観たり。よく聴く音楽はGlenn Millerの”In The Mood”や、Benny Goodmanの”sing sing sing”といったSwing Jazzで、得意な楽器は和太鼓。

そんな健康で文化的な生活を送っている東京生まれの彼女だが、自然派な一面もある。「高校生のころよく行っていた街は吉祥寺です。広場があるビルの屋上が解放的で居心地が良くて、芝生の上に友達とよく寝転がっていました。秋の夕暮れどきは、涼しい風と共に金木犀の香りがするんですよ。街の人混みは苦手で、紅葉してオレンジに色付いた井の頭公園が好きですね」。

ささやかな季節の変わり目も楽しめる中野は今、役者としての表現への責任感に気が付いたところ。「ただ”演じる”だけでなく、自分ではない人物の人生を”生きる”ことのできる、繊細さが必要なお仕事だと思っています。『PERFECT DAYS』に参加して多くの人々が様々な想いやこだわりを持って、1つの作品を作り上げていることを改めて学びました。私も自分の表現を通して作品を作り上げる一助になれていることに誇りを感じています」。

なんとなく見えてきた輪郭から、ど真ん中というよりも端を好んでいるような、そんな謙虚さがある中野有紗。『PERFECT DAYS』の挿入曲であった金延幸子の”青い魚”をカバーした歌声にはそんな隅っこにも届くようなやさしさがあるんだよね。