Photo:Rintaro Ishige | Text&Edit : Keita Miki | Special Thanks:9SARI CAFE & BAR | 収録日:2023年12月12日
—お二人の出会いとしては『リンカーン』時代になるのでしょうか?
藤井:僕自身があの企画を直接担当した訳ではないんですけど、番組内にヒップホップのことが分かるスタッフがいなかったので、少しだけ間に入ってお手伝いさせてもらった感じですかね。地元も練馬区で近いので、最初の打ち合わせのときに共通で知り合い…というか地元の怖い先輩の話なんかをした覚えがありますね(笑)。
D.O:その節は大変お世話になりました(笑)。
—それでは早速ですが、クジを引いていきましょう。
D.O:あ、そういう感じなんですね。……”好きなおやつ”。うーん、好きなおやつと言われると所謂クッキー。スペースクッキー、スペースブラウニーということになりますかね。まぁ時には運命を左右するようなおやつになりかねませんが。
一同笑
D.O:あとは欧米やアジアの一部の国では既に当たり前になっているハッピードリンクなんかも好きなおやつと言えるのかもしれません。
—えーと、いつもは結構ほんわかしたテーマなのですが、今日はおやつの話は早めに切り上げて、次のテーマにいきましょう(笑)。
D.O:じゃあ引きますね。……”モチベーションの保ち方”。
—お二人ともキャリアが長くなってきている中で、どういう風に仕事に対するモチベーションを保っているのかなと。
D.O:僕はストレスがあればあるほど燃えるタイプというか。なので、刑務所から出てきてからは、よりストロングに、より明確にやるべきことをこなしている感覚がありますね。昨日の自分より、今日の自分の方が絶対にタフなはず。それがモチベーションの1つになっていると思います。全てのネガティブはポジティブに変換出来るものだと思っていますから、僕はそれを体現出来る存在になろう、と。
藤井:仕事がしんどいなって思う瞬間は無いですか?
D.O:いや、しんどいと思ったら全てがそうですけど、普通の仕事をしていたら出来ないこと、例えばステージで大きな声を出すとか、そういうことを僕はやらせてもらえている訳で、1やって1000もらえちゃうとか、1000やっても1で許してもらえちゃう特殊な環境にいるってことは自覚しなきゃいけないし、だからこそ責任を持つべきだし、へこたれないべきというか。言うならばそういう全てがモチベーションなんですよね。食らえば食らうほど、与えられたストレスが大きいほど「まだいけるっしょ」って。藤井さんはどうですか?
藤井:毎週オンエアがあるので、単純にそのペースはしんどいですよね。
D.O:テレビ局の人って寝られないイメージがあります。
藤井:そうですね、年々やることも多くなって忙しくなっている感じはあって……。
D.O:これ以上忙しくなったらどうなっちゃうんですか(笑)!
藤井:もちろん反応も大きいからそれがモチベーションにはなるんですけど、たくさん作るのはしんどいなって年齢になってきたかもしれないですね。毎週1つ、必ず出さなきゃいけないっていうのが少ししんどくて、自分のスタイル的には本当だったらストロークをもうちょい長く取って、強い1発を出していく方が得意なはずなので。
D.O:時には週1つ以上出すこともありますもんね。
藤井:年末は特番とかも結構重なるので、そうなりますね。
D.O:もうどうなっちゃうんですか(笑)。けど、そう考えると報道の人たちとかは毎分毎秒でそれをやっている訳ですもんね。
藤井:報道系とかって瞬発的な忙しさはすごいと思うんですけど、もうちょっとシフト制で回るように組まれていたりはするんですよね。その点、バラエティとかドラマの方はどうしても作家性的なモノだったりを強めに求められるので、なかなか「来週は違う人でお願いします」ってことが出来なくて。
D.O:毎週ずっと面白くしていかないといけないのは鬼ですね(笑)。
藤井:そうは言っても漫画の週刊連載とかに比べたらまだ全然マシだとは思うんですけどね。昔はみんな意地でも休まなかったけど、最近は休めるときに休もうという風潮ですし。
D.O:自分も両親が漫画の世界にいたから、プロフェッショナルの概念が結構イカれてたように思いますね。寝てる奴なんてプロにはなれないだろ、みたいな。
藤井:リンカーンの頃はまさにそんな感じでしたね(笑)。
D.O:昔はノールールで、24時間全て仕事に捧げるって感じでしたもんね。けど、そういうのを身近で見たり聞いたりして、近いようなことに関わってきたからこそ今もモチベーションが保てているってのはあるのかもしれません。
藤井:ご両親は手塚治虫先生のところで働いていたんでしたっけ?
D.O:はい、虫プロですね。当時は7社とか8社とか同時に週刊連載をやっていて、忙しい時はそこにさらに新聞も。常に2人、3人の編集者が家で「早く、早く」って原稿を待っていた記憶があります。
藤井:そういえばリンカーンのロケでお邪魔したB-BOY PARKの時、バックステージにご両親もいらっしゃいましたよね。ご家族とはちゃんと上手くやられてるんだ、って印象的でした。
D.O:そうでしたっけ。理解ありますよね、楽しんで見てくれて。じゃあ、次のテーマにいきますね。……”好きな女性のタイプ”。広いな~!
一同笑
D.O:どの国に絞りますか? 国によってだいぶ変わりますよ、これは。
藤井:外国の女性もお好きですか?
D.O:そうですね、世界中の女性を知って初めて日本の女性のことが分かると思っているので。このテーマだけで無限に喋ってしまいそうな自分が恐ろしいんですけど。
一同笑
D.O:自分の地元の何を知っていますか?って質問と一緒なんですよ。外国の人にお前は自分の地元の何を紹介できるのか。それをきちんと説明出来る奴は何人いるのか。僕らみたいなヒップホップで語らせてもらっている人間は全員この話を理解しているのか。日本人である前にお前はどこの誰なんだ、その地元のヒストリーはなんなんだ。地元で何をしてきて、地元の何を知っているんだ。美味しい飯屋があって、こういうイケてる人がいて、この人にはこういうヒストリーがあるから挨拶した方が良いよ、とか。それを踏まえた上で、お前は日本人として海外に行った時に何を説明出来るんだ。そうやって全てが繋がることを、僕はヒップホップを通じて学びました。世界中のイケてる奴らの中でそれは出来て当たり前で、出来ない奴はダサいし、恥なんです。もちろん、それに気付かずに自分の村で死んでいく人もいる。小中学校の年齢で恋愛をして、10代のうちに子供を作る人だって世界には山ほどいる訳です。一角だけのストーリーで生きて死んでいくようなヒストリーも無限に存在している。けど、それだけじゃ世界は回らない。誰かが世界に飛び出て、その世界を知ったことによって初めてジャッジ出来る物事もたくさんある。ということで、好きな女性のタイプ、それはお前が何タイプの女性を知っている中でどのタイプが好きなのかって話に繋がってくる訳ですよね。
藤井:なるほど……。
D.O:深いよ……つって。
一同笑
D.O:まぁこれが世界中のイケてる奴らが当たり前に思っていて、当たり前に出来ること。そりゃそうですよね、ストリートを知らない奴にストリートは語れない。「東京ってやばいらしいじゃん」、「歌舞伎町、渋谷、六本木、やばいんでしょ。連れて行ってよ、教えてよ」って言われた時に、果たして教えてやれる奴が何人いるのか。俺は出来ますよ。だから世界中、どこへ行っても同じように見せてもらえるんです。自分も同じ事をしてあげられる訳だから。そういう奴らが集まった時に初めて世界は繋がって、そこからリスペクトが生まれ、B-BOYたちのステージに繋がっていく。これは全てにおいて言えることで、知れば知るほど世の中は知らないことだらけだと知り、知るべきことを知らずに生きているのは恥ずかしいと知る。
藤井:素敵な考えですね。
D.O:まぁ、好きなタイプは日本人ですね。「日本人に決まってんだろ!」、つって。
一同笑
藤井:ちなみに、ご家庭は円満ですか?
D.O:そうですね、これはどんな界隈でもそうだと思うんですが、全てをいかにコントロールし、転がしながら上手くやれるのかっていうゲームでもありますからね。王室だって夫婦間のいざこざで国が上手くいかなくなるくらい、実は夫婦仲というのは簡単ではない。けど、クールなマフィアのボスは女にピーピー言わせないですよね? それをコントロール出来ていないのは格好悪いということなんですよね。
藤井:つまりはうまくいっているということですね(笑)。では次のテーマに。……”再結成・再始動・復刻”。
—あらゆる業界で見られる傾向かと思うのですが、例えば『風雲!たけし城』が復刻されたりだとか。そういった今の時代の流れについての見解を教えてください。
D.O:あーたけし城、噂には聞いていました。
—たけし城に限らず、お2人はオリジナルを知っている世代でもあると思います。
D.O:嬉しいことですよね。歳を重ねるに連れて出会いがなくなっていく中で、同じ時代のことを再び語れるのは。
藤井:音楽もそうですけど、ファッションの世界なんかは特にその流れが顕著ですもんね。
D.O:ファッションなんてもう何周もしていると思いますよ。テレビでも『夕やけニャンニャン』からAKBをはじめとした今のアイドルシーンへと繋がっている訳で。
藤井:大きなうねりもあれば小さいスパンでの流行りもありますし、どこの業界でも同じなんですかね。
D.O:我々はショービズに同じ衝撃を受けて、今ここにいますから。『ねるとん紅鯨団』があって、『夢で逢えたら』があって、『とぶくすり』があって、ここにいる。あの時、時代が変わったように見えたんですよね、俺には。
藤井:『ダウンタウンのごっつええ感じ』も当時圧倒的でしたしね。
D.O:まさしく。ドリフとたけしの次が来たなって感じで。まぁ再始動の話に戻ると、再始動と一口に言っても、自分自身も含めて、色々な意味での再始動がありますからね(笑)。次のテーマにいきましょうか。……”気になる人”。
藤井:最近、テレビとか観てますか?
D.O:ちょいちょい観てますけど、最近は疎遠になっちゃいましたね。刑務所ではテレビ博士なんて呼ばれてたんですけど(笑)。
藤井:刑務所の中ってテレビも観られるんですね(笑)。
D.O:観れますよ。ただ、自分はありがたいことにテレビを観なくても色々とやることがあって、恵まれている方でした。本も読みきれないほど送ってもらったし、刑務所の中でも金を稼ごうと思って、仕事もしていたので。でも、やっぱりそういうマインドの人ってすごく少なくて、ほとんどの人はテレビしか楽しみがないんですよね。だから、大抵の人はテレビにめちゃくちゃ詳しくなります(笑)。
藤井:チャンネルも自由に選べるんですか?
D.O:いやチャンネルは2つしかなくて、どちらかを選ぶ感じでしたね。日曜日の夜だけ録画した映画を観せてくれるんです。みんなそれを超楽しみにしていて。あ、気になる人でいうと、『坂上どうぶつ王国』は刑務所の中でも観れたんですけど、徳島の自給自足家族っていうとんでもないコンテンツがあって、今でも刺さっちゃってますね。たしか廣川さんってご家族なんですけど。
藤井:ほお。
D.O:いや、もう本当にすごいんですよ。車のガソリン以外は全部自給自足で、マジで金を使わない。ヤギを飼っていて、野草の知識とかも超豊富で。足りないものは自分たちで獲った鹿肉と交換したりとか。YouTubeもやってるんですけど、うちの妻もずっとそれ観てるもんで、もう廣川さんの親戚かってくらい詳しくなっちゃって。
一同笑
D.O:そういう意味では廣川さんが気になりますね。次、いきましょうか(笑)。……”好きな動物”。やかましいわ! 「じゃあお前は一体、世界の動物の何を知っていて……」って”好きな女性のタイプ”と同じ話になっちゃうよね(笑)
—ここ(9sari Cafe)にも猫がいますけど、猫はお好きなんですか?
D.O:猫は漢さんが好きなんだよね。けど、あの人は猫に限らず、苦しんでいる奴を拾ってくる癖があるから(笑)。でもまぁ、俺は昔から動物好きですよ。飼育委員をやってたこともあるし。
藤井:あ、そうなんですね。昔、何かの雑誌で豚小屋みたいなところで写真撮ってましたよね?
D.O:うわ、すごい懐かしい。あれはたしか『週刊プレイボーイ』ですね。みんなで一張羅のスーツ着て、ビニール袋に現金4~5千万円詰め込んで撮りました。次も引いちゃいますね……”体調”。まぁ、おっさんになってくるとこういう話がメインになりますよね。けど、俺は刑務所で1回、デトックス済みなので。毒抜きに成功しています。
藤井:ある時期からはスマートな体型をしっかりキープされてますよね。
D.O:そう見えます? 嬉しいな。裁判が終わって、服役することが決まると一度家で身辺整理をさせてもらえるんですけど、服役までの期間に体重を30キロ増やしたんですよ。
藤井:マジですか(笑)。
D.O:熊の冬眠と同じですから。刑務所の中では10分とか20分の運動の時間しか自由に動けないので、その短い時間を全て走りと筋トレにあてるんです。
藤井:出所時は何キロぐらいでした?
D.O:70キロくらいですかね。3日か4日でリバウンドしましたけど(笑)。流石にそこからは少し絞りました。俺はいつだって格好つけていたいんですよ。刑務所で稼いだ金も全部家族に渡していたし、自分のことは全部後回しにしていたから出てきた時は本当に何も持っていなくて、ズタボロで。でも、それでも格好つけていないといけないんです。金なんて無かったから歩いて現場まで向かって、涼しい顔で仕事をして、また歩いて帰ってました。だって、マイケル・ジャクソンが電車で隣の席に座っていたら嫌じゃないですか(笑)。俺はそういうモチベーションであり続けたいんですよね。マイク・タイソンも50セントも絶対に電車には乗らないですよね。だから俺も乗らない。夢を与える仕事をしているなら責任を持つべき。命かけて気張れよって思うんです。つまり、体調はすこぶる良好です。
一同笑
藤井:良い話でしたね。次は僕が引きますね。……”最近買ったモノ”。
D.O:なんだろうな、GUCCI(グッチ)のサングラスかな。
藤井:そういえば、最近はあまりサングラスをかけているイメージがないですね。
D.O:動画とかステージくらいですかね。
藤井:昔はずっとサングラスしてましたよね。
D.O:そうですね。衣装全般に関しては、いつも戦いですね。ヒップホップの最前線にいる限り、常に着飾るべきであり、みすぼらしく見えてはならない。必ずしも高い服である必要は無いけど、格好がつく服を着ることは我々が語るヒップホップの1つでもあるので、意識はするようにしています。
—それではそろそろお時間なので、最後のクジにいきましょう。
藤井:”年末年始の過ごし方”。
D.O:〆っぽいテーマですね(笑)。大晦日は大抵何かやっているんですよね。年越しパーティーに顔出して、そのまま仲間と初詣に行ったり。仕事をしてますね。いつもと変わらず過ごしています。
藤井:僕も年末まではビッチリ仕事なんですけど、年始だけは少し空くんですよね。タレントさんも正月は休むので。
D.O:正月用のものは事前に仕込んでおくってことですか?
藤井:そうですね、正月から稼働したくないし、させたくないので、基本は年内に作ってしまいます。2024年はD.Oさんにとってどんな年になりそうですか?
D.O:飛躍の年にしますよ。皆さんにも楽しんでいただけるかと。ヒップホップシーンも盛り上がっていますし、色々と楽しみにしていてください。
大好評配信中
https://linkco.re/PG6f2U7Z
■収録曲
01.大東京24時
02.7 days war 24 feat. 漢 a.k.a. GAMI
03.FLY9
04.大東京27時
05.BLACK OUT feat. Ralph
06.SRAB RED RUM
07.THE SPEECH OF DOGGZ
08.NEVER ENDING STORY
09.FAKE NEWS
10.TEAR DROP feat. T2K a.k.a. Mr.Tee
11.大東京29時
12.MY SONG / Red Eye
13.ONE’s WORD
14.スタンド・バイ・ミー REMIX feat. Red Eye , 漢 a.k.a. GAMI
15.Rain
16.Rhyme to heaven
17.FLY9 REMIX feat. RYKEYDADDYDIRTY
https://twitter.com/DO_Doggruncafe
https://www.instagram.com/dangerous.0riginal/
https://www.youtube.com/@d.o3017