Photo:Takuya Murata | Interview & Text:Saori Ohara | Edit:Keita Miki
— 2024年春から始動するOTW by Vansはどんな位置付けなのですか?これまでのVANS VAULTとの違いは?
Ian:VANS VAULTはブランドの伝統やクラフツマンシップを軸にしていたんだけど、OTWのミッションは、スケートボードから生まれたVANSの精神性そのものを讃え体現し続けること。探究心に満ちた、掟破りなクリエイティブさ。それが、スケートボーディングのパイオニアたちとVANSが育んできたスピリット。型破りな発想で、新しい領域への挑戦を続け未来に繋げていく。製品や体験の枠と可能性を広げることがOTWの目的なんだ。
— では、ブランドを見ている人たちに対してのコミュニケーションの仕方というか、プレゼンテーションの方法も変わってきそうですね。
Ian:そうだね。OTWの発表をしたのは2023年6月のパリのメンズファッションウィークなんだけど、そこでは簡単なクォーターパイプを設置して滑るだけじゃなく、パリの街にスケートボードシティを作ったんだ。ここ数年、ファッション業界では当たり前のようにスケートボードのエレメントが見られるよね。多くのデザイナーのムードボードにはスケーターたちが使われ、ランウェイやルックブックにもスケートボードが登場している。そんな中で、僕らはキャットウォークやムードボードから、スケートボーディングをストリートへ連れ戻し、本来の姿を提示したかったんだ。ただ、OTWはスケーターたちだけのブランドという意味ではなく、スケーターが体現するアティテュードやマインドセットを表現していくのがブランドの使命。好奇心、探究心、型破り、プログレッシブ、なんていう言葉や姿勢は、スケートボーダーたちの存在以前からあったものだろ? ただ、それらの言葉を集約したプレソナに、スケートボーダーという存在は最適だし、それこそVANSの”Off The Wall”っていう精神の起源でもあるんだ。OTWのスタートと同時に、VANS PREMIUMというラインも始まるんだけど、VANS PREMIUMはよりVANS VAULTの性質を受け継いでいると言えるね。アイコニックでクラシックなシルエットを文字通りプレミアムな素材で作り上げたり、全く新しい製法を開発したり、底上げされたクラフツマンシップを駆使して、フォーム、フィット、フィール、そして新しい履き心地を提案するラインとして進んでいくよ。すごく短的に説明すると、VANS PREMIUMはモダンクラフトを、OTW by Vansはフューチャークラフトと型破りな表現を創造していく、という感じかな。
— そのフューチャークラフトの具体的な製品として、2024年にはVibram®社製のソールを用いた『Half Cab』や新たなモデルが出るんですね。
Ian:そうだね。その後、秋冬には、新設計のニット素材の『Half Cab』や、モールドに素材を注入して構築した次世代の『SLIP-ON』なんかが登場する予定だよ。そうやって、VANSのオリジナルDNAを受け継ぎながらも大胆なアプローチを加えたモデルがOTWでは展開されるんだ。
— 2月にはロサンゼルスでOTW by Vansのローンチイベントも予定されていると伺いました。以前にVANSがニューヨークで開催したComfyCushのイベントも、学校をテーマに素晴らしい作り込みをされていたので、OTWのイベントも期待しています。Tony Alva(トニー・アルバ)や、『Half Cab』の生みの親であるSteve Caballero(スティーブ・キャバレロ)など、VANSのOGスケーターたちのファンは日本にもたくさんいますが、今後もそういったレジェンドスケーターをVANSを通して見ることができますか?
Ian:彼らのようなオリジナルトライブは、もちろん今でもVANSにとって大きな存在だから、今後のアクティベーションやキャンペーンに必ず登場してくれるはずだよ。特に『Half Cab』は僕らが今回、OTWで特に力を入れているモデルだから、Steve Caballeroが重要な役割を果たしてくれる予定なんだ。
— イアンさんは日本のマーケットについてはどう感じていますか?
Ian:僕自身ハワイ生まれの日本人ハーフだから、個人的な繋がりもあって90年代から何度も日本に来ているんだ。日本は、アジアで初めてスケートボーディングのコミュニティやカルチャーを受け入れて独自に発展させている国だと思う。スケーターたちのスタイルは日本のファッションコミュニティーで受け入れらているし、相互作用が自然に起きている。それは初めて日本に来た時から今に至るまで、変わらずに感じていることかな。
— それは他の国では見られないことなんでしょうか?
Ian:いや、その兆しはここ数年で他の国にも見えてきたよ。先日、韓国のソウルに行ってきたんだけど、これまでないほど多くのリテーラーが店頭にスケートボードを飾ったりしていたね。こういうタイミングでVANSの新しい動きや勢いを提示できるのはいいことだと思う。アメリカの他の多くのブランドは、何かのスポーツから生まれて徐々にスケートボーディングにもその触手を伸ばして今に至る、という形だけど、VANSはまさにスケートボーディングから生まれたブランドだ。それがVANSと他のブランドとの大きな違いだし、日本のようにスケートボーディングのスタイルやコミュニティを受け入れ影響される地域がアジアだけじゃなく全世界に広がっている今、VANSは日本のマーケットを特に注視していくべきだと思っているよ。
【商品のお問い合わせ先】
VANS
https://www.vans.co.jp/