ここでまだマイスペースをご存知でない方に説明をすると、2004年にアメリカでスタートした現在登録者2億人を有する、世界最大規模のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)です。
日本でも06年にサービスが開始されて以降、登録アーティスト数は既に95,000組を突破しています。
もちろん、国内でマイスペースに登録していないアーティストは、今もオフィシャルサイトが情報発信のベースであることに変わりはありません。しかし世界を見渡す限り、最新情報のソースはアーティスト自身が『マイスペース』から発信するスタイルが主流になりつつあることは、音楽ファンなら周知の事実でしょう。
また、このマイスペースは数多くのアーティストを世に出す役目も果たしていて、サマーソニックのヘッドライナーを最年少で務めたアークティック・モンキーズ(Arctic Monkeys)や、マイスペースをきっかけにデビューアルバムを全世界で250万枚売り上げたガール・ポップスター、リリー・アレン(Lily Allen)などはその代表とも言えます。
そんなリリー・アレンが先日、2ndアルバム『It’s Not Me, It’s You』のリリースを記念し、ユーザー限定の特別無料ライヴ『MySpace SECRET SHOWS』のために緊急来日したので、その模様をお伝えします。
リリー”らしさ”が全開のパワフルなステージ!
過去にオアシスのノエルなどが参加したこのプレミアムイベント、まずは日本からのサポートであるフィメール・ラッパーCOMA-CHIが会場を暖め、メインアクトであるリリー・アレンへバトンを繋ぎます。
セットチェンジ後、バンドメンバーがおのおのの配置につき、19時50分いよいよライブがスタート。
1曲目は2ndアルバムの冒頭を飾る『Everyones’s At It』。サイレンから始まる少し攻撃的でエレクトリックなサウンドのイントロと共に登場したリリー、そのサウンドに飲まれることなくフラットに歌い上げます。
当日の服装は白のキャミソールにブラックデニムのショートパンツ、そして上に羽織るのはブラックレザーのフリンジが付いたジレという出で立ちで、ステージ衣装というよりはごく一般的な20代前半の女子の私服といった印象。
ジレの背面に施された赤のエンブロイダリーが高ポイントですね。
声を聴くかぎり喉の調子も悪くなさそうで、ファンにはお馴染みである、ビールを飲みながらのステージングに観客からは笑顔がこぼれています。
そうこうする間に一曲目も終わり、気持ちの高まっているファンの声援に応えたのち、1stアルバムのヒット曲『LDN』へ。
その後は最新作である2ndアルバムからの選曲を基軸として進みます。
リリカルなメッセージとは裏腹に明るいビートで跳ねる『Fuck You』のサビではお決まりのポーズを自然とキメてくれ、もう、これがとにかく最高にクール。思わずにやけてしまいました。
そして、中盤にさしかかる頃にはミディアム・ナンバーでしっとり聴かせてくれます。
しかしこのあたりから、ふと気付くと歌の途中でステージ脇にいるローディに何かを伝える仕草を頻繁にするようになります。2〜3曲に渡ってそれが繰り返されていたのですが、ついに1stの名バラード『Littlest Things』の途中でローディーからリリーの手元に“ある”ものが届きます。
それは先ほどまでやや不機嫌だったリリーの表情をやわらげ、一発でゴキゲンにさせるアレでした。
そう! リリーのステージングには必要不可欠とも言える存在である、タバコだったのです。
煙を肺一杯に吸い込み、リラックスした彼女は気だるさを加え、独特の雰囲気を作りあげていきます。
オーディエンスも「やっぱりリリーはこうでなきゃ!」と言わんばかりの歓声で、フロアも一気にヒートアップ。
笑顔を取り戻したリリーは、そのままのテンションで世界に自身の名前を轟かせた大ヒット曲『Smile』を披露し、続けざまにセカンドアルバムの先行シングル『The Fear』で、一気にクラウドを沸かせていきます。
そんな盛り上がりの中、次の曲がラストと本人から告げられると、会場からはもちろんお約束のブーイングが死産発生します。しかしそんなものは意に介さず、「6月のライヴに来てね〜」とすぐさま切り返すあたりは流石といったところです。
ラストは、リリーがアコースティックでカヴァーした音源が話題になったブリトニー・スピアーズの『Womanizer』を、今回のライヴではオリジナルに近いゴリゴリのアッパー仕様で披露!とにかく驚きました。
この日一番のパワフルなヴォーカリゼーションに応えるがごとく、フロアも爆発したような大盛り上がり!
フジロックの時よりも大人っぽくしなやかなさを増した、またひとつ壁を越えた感じがする今回のライヴ。
今後がますます楽しみなアーティストの一人であることは間違いないでしょう。
Daikanyama Unit, Tokyo, Japan 25/02/09 セットリスト
1.Everyones’s At It
2.LDN
3.I Could Say
4.It’s Not Fair
5.Fuck You
6.Who’d Have Known
7.22
8.Never Gonna Happen
9.Go Back
10.Littlest Things
11.Smile
12.The Fear
13.Womanizer